キャンプを始めたての頃、スノーピーク沼どっぷりハマり入手した「和鉄ダッチオーブン 26」は、6年経った今でも管理人の不動の一軍調理器具です。
キャンプギア「買い替えの波」に飲まれず、現役でいつづけられる魅力はずばり、人と人の距離を縮める「食事の時間」を極上のひと時に昇華できるところです。
そんな魅力いっぱいのダッチオーブンについてレビューしたいと思います。
ダッチオーブンとは
ダッチオーブンの歴史は古く、始まりは家庭用の豆のような形の鉄鍋で「ビーンポット」と呼ばれていたものです。
19世紀後半、オランダ人がアメリカに持ち込んで販売した分厚い鉄鍋をアメリカのカウボーイが直火で使えるよう3本脚をつけて改良したと言われています (所説あり)。
オランダ人=ダッチ、ゆえに「ダッチオーブン」。
最近では自宅のIHでも使用できるよう、脚なしのフラットボトムの物が主流です。
購入品紹介
- 型番:CS-520
- リッドサイズ:φ268 x 316 x 56(h)mm
- スキレットサイズ:φ268 x 316 x 59(h)mm
- ポットサイズ:φ268×120(h)mm(ツル含まず)
- 重量:リッド/2.6kg、ポット/2.9kg、スキレット/2.4kg
- 容量:ポット/5.3L、スキレット/2.5L
- 素材:ダクタイル鋳鉄(シリコン耐熱塗装)
- 生産地:日本
- 価格:28,380円 (税込)
リッド、スキレット、ポットの3部分で構成されています。
ポット (本体)に2本のツル (取っ手)が装着されています。
吊り下げ時に安定するよう、ワイヤーハンドルの中央が凹むようデザインされています。
リッド(蓋)には、きめ細かい面のロゴも美しくでるきめ細かい砂型で製造しております。
ポットとスキレットの底にも「snow peak」のロゴなどがあしらわれています。
新品時のツルツルした表情も美しい。
ポット (本体)、スキレット、リッド (蓋)を組み合わせることで、対応できる料理の幅も広がります。
リッド+ポット
一番よく使うパターンです。
ローストチキン、カレー、焼き芋などなど
リッド+スキレット
スキレットにリッドを載せて、最も浅いパターンです。
アクアパッツァ、ハンバーグ、ピザ、パンケーキなどの調理に最適。
調理動画もどうぞ
スキレット(逆さ)+ポット
ポットにスキレットを逆さまに載せる最も容量の大きなパターンです。
大きめのチキンや塊肉も丸々収まります。
同じサイズでも他社製品はここまでの容量は対応できないので、この拡張性が素晴らしいです。
ポット+スキレット
スキレットに炭を入れ、パンやパイなどを焼くとくに、天火を近づけたい調理が可能
言われなければ思いつかない使い方ですが、一度は使用してみたいです。
オプションの「チャコ―ルスタンド26」を使用すれば、複数のダッチオーブンをスタッキングして同時調理も可能です。
一度はこのようなダッチオーブンタワーをやってみたいです。
秀逸な点6つ
① 高い蓄熱性
ダッチオーブンの最大な特徴はその「蓄熱性」の高さです。
「ダクタイル鋳鉄」製の本体は、高い蓄熱性と粘り強さがあると同時に、衝撃やヒートショックにも強い素材でもあります。
保温性と蓄熱性がありながら、従来の鋳鉄製品にない薄さと軽量化も実現。
ダクタイル鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄とも呼ばれ、組織中の黒鉛(グラファイト)の形を球状にして連結し、力を加えたときに亀裂も生じにくい性質を持っています。
つまり、引張り強さ・伸びなどが優れ、普通鋳鉄よりも数倍の強度を持ち、粘り強さ(靭性)が優れています。
その性質により、強度の必要な鉄道部品や自動車部品などに水道管(ダクタイル鋳鉄管)などに数多く採用されている。
出典:田村鋳工所
アウトドアでも天候や気温の影響を受けにくいため、キャンプで使うには高い安心感があります。
日本が世界に誇るモノづくりの聖地「新潟燕三条」で製造されており、Lodgeなどのダッチオーブンにありがちなアメリカ製造の荒っぽい箇所は一切なく、芸術品とも言える程細かい所まで作り込まれています。
そのおかげで食材から発生する水蒸気はポットと蓋の隙間で「水の膜」となり、漏れることなく「ウォーターシール効果」によって高い密封性を実現。
また、重さのある蓋は「ウォーターシール効果」の持続に貢献し、圧力鍋と同じ状態を作り出し食材本来の旨みを最大限に引き出すことが可能。
② 上部加熱が可能
蓋に直接炭や薪を乗せれるのが特徴で醍醐味でもあります。
文字通り、オーブンのように調理ができることからダッチオーブンという名前がついてます。
「和鉄ダッチオーブン 26」のリッド周囲に淵が立ち上がっており、載せた炭や薪が落ちにくいようデザインされています。
炭の置き方のコツとして、バラバラに置くのではなく、炭同士をくっつけて配置すること熱の相乗効果により温度が下がりにくく、中の食材に効率よく熱が伝わります。
炭をバラバラに置いてしまうと、冬場だとすぐに火が消えてしまいます。
③ 使いやすいサイジング
ダッチオーブンのサイズは8インチ、10インチ、12インチが主流で、その中でも10インチサイズが一番使いやすい。
「和鉄ダッチオーブン 26」は径約26cm (10インチ)で、4人家族のキャンプにピッタリなサイズで、家庭用コンロにも収まる大きさです。
廃盤にはなりましたが、サイズ24と28も存在していました。
現行品ではサイズ26のみとなっています。
ソロキャンプの際は、ステーキを焼くのに「スキレット」のみ持参することもあります。
④ 多彩な調理方法に対応
普段自宅では作りにくいピザやパンなどの本格料理を楽しむのもよし、逆に料理に時間を掛けず、放置するだけで簡単に作れるローストチキン、シチューなども調理可能。
ダッチオーブン一台あればオーブン、「煮る」、「焼く」、「炒める」、「炊く」、「揚げる」、「蒸す」、「スモーク」とあらゆる調理ができ、料理のレパートリーも増えること間違いなし。
オーブン
放置するだけで簡単にローストチキンなどのオーブン料理ができます。
肉や野菜の旨みが凝縮され、ダッチオーブンの力を遺憾なく発揮できます。
準備などに時間と手間はかかりますが、手作りパンが焼けちゃうのはダッチオーブンならではです。
個人的には一番おすすめのダッチオーブン料理です。
煮る
煮物、カレーやシチューは普通の鍋と同じ手順で手軽に作れます。
高い密封性のおかげで、水分が逃げにくいため、水を入れる必要はなく玉ねぎなどの食材の水分だけで調理する「無水調理」ができます。
焼く
スキレットは鉄板代わりに、ステーキ・ラムチョップなどを焼けます。
朝食のパンケーキ、フレンチトーストを作るのにも絶妙なサイズです。
焼き石を入れて本格的な焼き芋も可能。
冬キャンプで食べるホクホクの焼き芋は最高です。
炒める
冷凍チャーハンなどの炒め物も美味しくできます。
炊く
ダッチオーブンでお米を炊くのも非日常的で楽しいです。
管理人はおこげを目当てにご飯を炊きます。
家庭用の炊飯器よりもサイズがあるので、鯛一匹まるまる入れた「鯛めし」なんかも写真映えして最高です。
揚げる
普段自宅で油のにおいに躊躇する揚げ物も思いっきり作れます。
フライ、てんぷら、串揚げを胸やけするまで食べられます。
蒸す
わざわざダッチオーブンので作る必要はありませんが、肉まん・シュウマイなどの蒸し料理も当然作れます。
スモーク
なべ底にアルミを敷きその上スモークチップを乗せます。
食材はオプションの「インナーネット26」に乗せれば簡単に燻製料理が楽しめます。
⑤ あらゆる熱源に対応
「炭」、「焚火」、「ストーブ」、「ガス」、「IH」とあらゆる熱源に対応しています。
焚火等で使用した後、熱で底面に変形や反りが発生しやすくなります。微妙な歪みでもIHヒーター上で不安定になります。変形がひどい場合、加熱できなくなったりする可能性もあります。
メーカーは焚火とIHの併用は推奨していません。
⑥ シーズニングが不要
通常、鋳鉄製品の使い始めに「シーズニング」という油慣らし作業が発生します。
「和鉄ダッチオーブン 26」の表面に「シリコン耐熱塗装」が施されており、「シーズニング」を必要とせず、軽く洗うだけですぐに使用できます。
この手軽さが素敵です。
⑦ 経年変化
ダッチオーブンは100年使用できる調理器具とされています。
使い込むことで油がなじみ、黒光りする姿は愛好家の間で「ブラックポット」と称し、使い込んで初めて完成する道具 (ギア)です。
時間と共に劣化するテフロンやアルミの鍋と異なり、むしろ「経年優化」してきますので、使えば使う程育てる喜びを感じます。
子どもの代、孫の代まで引き継いでいきたい逸品です。