アウトドアマンの方らならダナーのマウンテンライトについて聞いたことはあるではないでしょうか?
アメリカ生まれの質実剛健なブーツメーカとして、キャンパーたちを足元から支え、目立たないがその優れた機能性とファッション性に思わず目いってしまいます。
今回は、誕生から30年以上経った現在も象徴的存在であるマウンテンライトについて紹介したいと思います。
Dannerとは
1932年チペワフォールズでチャールズダナーが安い仕事用ブーツを5人の労働者と一緒に作り始め、一足4ドルで売ることから始まる。チャールズダナーがオレゴン州ポートランドでビジネスを展開。当時、質の高いチョークロガーを作り始めて一足20ドルで売り始める。
1959年、アメリカで初めてビブラムソールを用いたシューズを開発し、ダナーのマウンテントレールが一番登りやすいブーツとバックパッカー雑誌に取り上げられ、ダナーはハイキング業界でプレミアなブランドとなりました。1979年には、靴企業では初めて”ゴアテックス”を使用したシューズを展開し、「ダナー」ブランドは確固たる地位に。
「軽量」で「快適」、1足、1足を厳選された素材で、時間をかけて丹念に手作業でシューズを作り上げる、というスタンスは今でも変わらない。
出典:Danner
2012年に、ABCマートが「Danner(ダナー)」や「LaCrosse(ラクロス)」を展開しているアメリカのLaCrosse Footwear, Inc.本社を110億円で買収し、連結子会社として再出発しました。
アメリカで生産されている今までの高品質ブーツはABCマートが日本での輸入販売総代理店になります。
それと同時に、アジアの協力工場との技術提携することで、廉価版のラインナップも充実させる戦略がとられています。
ボーナスで奮発して手に入れたい一生モノの高級ブーツというブランドイメージは崩れ、ダナーファンとしては非常に残念です。
とはいえ、アメリカでの生産をやめたわけではないので、従来通りのダナー品質のブーツは購入可能です。
購入品紹介
- 商品名:Danner Mountain Light
- カラー:ブラック
- サイズ:US 8 (27cm)
- ワイズ (幅):EE
- 重さ:730g (片足)
- アッパー素材:本革
- 製法:ダナー式ステッチダウン製法
- ミッドソール:PU (ポリウレタン)
- アウトソール:VIBRAM クレッターリフト
- 生産国:アメリカ
- 価格:60,500円 (税込み)
マウンテンライトは前述通り、マウンテントレイルをベースにゴアテックス機能を持たせたモデルで、最もすぐれたトレッキングシューズとしてベストセラーとなっています。
シューレースを通す穴は5セットのDリングと2セットのフックで構成されており、マウンテンライト並びにハイキングシューズのシンボルマーク的ディテールです。
サイズ選び
マウンテンライトワイズ (幅)のほとんどが「EE」サイズです。
普段のスニーカーのサイズが26.5cmか27cmが多いので、ほぼジャストサイズの27cmを選びました。
正直少し大きめではありましたが、ダナーオリジナルのFatigue Fighter Footbedというインソールを購入し、厚手のソックスで合わせたら丁度良いフィット感を得ることができました。
秀逸な点7つ
① 高品質レザー採用
ダナーのブーツで使用される全て牛革は6つ厳しい品質検査工程をクリアした最高品質の革になります。
耐久性、柔軟性、強度、耐水性などを職人の目や手によって細かくチェックされます。
マウンテンライトはフルグレインレザーという革表面の一番外側の部分のみ使用し、最高品質の繊維組織が高い耐久性を生み出します。
② Hand Made in U.S.A.
マウンテンライトは今なお、ポートランドの工場で職人によるハンドメイドで生産されています。
使用されるパーツはすべて手作業でカットされ、革の良質な部分を見極めるには職人の目や手で確認するほかありません。
カットされたパーツを一つ一つが手縫で繋がり、それもまた長年の経験と熟練の技術が必要とされています。
特徴であるステッチダウン製法はハンドメイドであるからこそ素晴らしいフィット感を生み出せます。
③ 高い防水性
独自のアッパー構造
アッパーはバックステイ (かかと部分)以外は一枚のレザーで構成され、水の侵入を防ぐ構造となっています。
GORE-TEXの導入
より防水性の高いブーツを作るためライニングの素材にGORE-TEXが導入されました。
GORE-TEXとは、
ゴアテックスはアメリカ発のファブリックで、WLゴア&アソシエイツ=通称ゴア社が開発した素材です。ゴアテックスとは、「ゴアテックスメンブレン」と言われるフィルム素材のこと。
目に見えない無数の気孔が空いており、外からの水分の侵入は防ぎつつ、内側からの水蒸気を逃がすという特徴を持っています。
ゴアテックスは1976年にアウトドア向けのアウターウェアに採用されて以降、圧倒的なクオリティの高さで防水透湿性素材のトップに君臨し続けており、現在も他社の追随を許していません。
出典:TABI CHANNEL
ダナーは世界で初めて靴にGORE-TEXを使用し、その特性である防水性・通気性をスタンダードにしたパイオニアであります。
水漏れの可能性を最小限に減らすために、他社製品はいくつものパーツを縫い合わせているのに対し、ダナーはライニングのGORE-TEXを足袋のような形に一本のシーム (縫い目)のみで縫製されています。
また、縫製の際のステッチングは防水機能の高品質基準のレベルで行われ、最高のGORE-TEX性能を保証するため、厳しいテストが実施されています。
例えば、水槽の中にブーツを20万回屈曲し、水溜まりで320km歩くのに相当するWet Flex試験を行い、水漏れがないかを確認するなど品質管理が徹底されています。
ステッチダウン製法
正式には「ダナー式ステッチダウン製法」という製法が採用されています。
具体的には甲革の端を表底に貼り付け、出し縫いを行う製法で、軽さや履きやすさが特徴です。
253にも及ぶ手作業の工程があるステッチダウン製法は、頑丈で足なじみがよく、快適な履き心地を実現。
デメリットとしては、アッパーに直接縫い糸が掛かってしまうため防水性が落ちてしまします。
対策として、ゴアテックスファブリクスを使用することで、軽量でありながら、高い防水性を実現。
また、アッパーが外側に折り出されていることでアッパー内部に侵入した水分も排水されやすくなる効果も期待できます。
④ 高いフィット性
繋ぎ目ののないタンの部分はホールド感を強め、高いフィット性に寄与してくれます。
また、Fatigue Fighter Footbedというインソールを併用すると、アーチ(土踏まず)サポート、ポリウレタンクッション、クイックドライ (速乾性)他、ブーツとの一体感が増し、足全体のフィット感がさらに向上します。
⑤ Vibram (ビブラム)ソール
アウトソールは、最高のソールメーカーとの呼び声高いVibram社のクレッターリフトソールを使用。
Vibram (ビブラム)とは、
1937年に産声を上げたビブラム社。創設者は、イタリア人の登山家であるヴィターレ・ブラマーニ氏だ。同氏は経験を生かして、初めての登山靴用ソールを発明。
厳しい環境下でも対応できる耐久性や優れた機能性で、世界中にその名を広げた。現在ではスポーツ、ファッション、ワークなど幅広いシーンの靴に使用され、無二の靴底メーカーとして愛されている。
出典:TASCLAP
クレッターリフトソールは、Vibram (ビブラム)社の中でも、優れたグリップ性を誇り、土踏まずの内側と外側にラグが施されており、特に下りの時に滑りにくく、 しっかりとしたトラクションを確保。より安全な歩行に寄与しています。
⑥ ファッショナブル
キャンプや登山、トレッキングなどのアウトドア活動にはもちろん問題なく使用でき、街でもオシャレに足元を決めることができます。
高品質のレザーを使用しているため、ブラッシングするだけで艶が出てきます。
管理人はダウンユースの際に、トゥ (つま先)とヒール(踵)をハイシャイン処理し (通称鏡面仕上げ)、ピカピカに磨き上げます。
タフに履くイメージのダナーが洗練されたアーバンチックな雰囲気に変わります。
これはこれで、気に入っており、イギリスやフランスの高級革靴とも異なった上品さがあります。
⑦ 経年変化
ダナーは履き込む程革に艶が現れ、しっとりした表情を見せてくれます。
管理人は経年変化が大好物で、特にレザー製品のエイジングに目がないです。
新品よりも2年程履き込んだ表情が好きで、暇さえあればブラッシングしています。
5年後、10年後の姿が楽しみで仕方ないです。
使用感
キャンプシーンでは、芝、砂地、砂利、土、雪とあらゆるコンディションのフィールドに対応可能です。
本領発揮してくれるのは山の中に入って薪拾いする時くらいで、それ以外は基本オーバースペックです。(笑)
高いグリップ力のおかげで、湿った木や濡れてる石の上を歩いてもしっかりキャッチしてくれるため、安心感が半端ないです。
浅い川に入ったり、長時間雪道を歩いても全く水漏れがなく、防水効果申し分なし。
残念な点
履き始めは硬い
新品おろしたて時はソールが反り返ってないのと、革がなじんでないため、履き始めはどうしても痛く感じます。特にアキレス腱付近に靴擦れが発生することが多い。
しかし、10回程履き込めばソールも反り返り、革もある程度なじみ柔らかくなるため、包み込まれるような履き心地が完成します。
それでも、管理人が所有している半年以上の慣らし履きが必要なJ.M. WESTONローファーよりは早くなじみます。
不思議なことに、シーズン初めはまた革が硬くり、いきなり長時間着用するのではなく、数回の街履きを経てから投入すると良いでしょう。
重い
管理人が持っている靴の中で一番重く、片足730gあるため、長時間の着用はどうしても疲れてしまいます。
キャンプで一通り設営や川遊びなどをした後、脱ぎ履きしやすいSUBUのサンダルに履き替えてくつろぎます。
メンテナンス
① シューツリーを挿入
Amazonで販売されている2000円程度の物で問題ありません。
できれば脱臭、除湿、抗菌効果のあるシダー材のものを選びましょう。
履きじわを伸ばし、形崩れやカビから大事なブーツを守ってくれるため、必須アイテムです。
② ブラッシング (ホコリ落とし)
馬毛ブラシを使って全体的にブラッシングをし、表面のホコリを落としていきます。
馬毛は毛質が柔らかさとしなやかさが兼ね備えているため、ホコリや軽い汚れを落とすのに最適です。
③ リムーバー
ブラッシングでは落としきれなかった汚れ、古い靴クリームなどをリムーバーを使って落としていきます。
片足につき、小豆程の分量で問題ありません。
落とす際には、古いT-シャツなどの綿素材の布を使用します。
④ クリームを塗り込む
管理人はAldenやJ.M. WESTONなどの本格革靴用のサフィールノワールのクリームを使用しています。
リムーバー同様、片足につき小豆程の分量で問題ありません。
体温でより革に浸透しやすくなるため、いつも愛情を込めながら素手で塗り込んでいます。
⑤ ブラッシング (クリームをなじませる)
クリームを塗った後、全体的に豚毛ブラシでブラッシングし、ムラなくなじませます。
豚毛ブラシは固めの強度と適度のコシのあるのが特徴で、クリームの塗り込みやなじませるのに最適です。
⑥ 乾拭き
きれいな綿素材の布で乾拭きし、余分なクリームを拭き取ります。
表面にクリームがなくなるまで拭きます。
⑦ ハイシャイン (鏡面磨き)
ここは好みになりますが、ピカピカがあまり好きでない方は読み飛ばしてください。
モルトドレッシングとも呼ばれており、トゥ (つま先)やヒール (かかと)にWaxを何層も薄く塗り、ウイスキーを染みこませた布で磨き上げます。
最も根気の必要な作業でいつも片足15分以上かけて行っています。
完成後ピカピカになったダナーを眺め何とも言えない達成感に包まれます。
まとめ
ダナーのマウンテンライトは「革」、「アウトソール」、「ライニング」に至るまで、全て最高級の素材を使用しています。
ハードなアウトドアユーズ⇒適切なケアとリペアを繰り返せば、使用者の足に馴染み、一生付き合える相棒になります。